幕張を少し離れ、昭和の風景・江戸の絵画をご紹介・・・


上野国立博物館入り口 東京国立博物館

ボストン美術館展

** 東京国立博物館での展示は
 終了いたしました **
今後の展覧予定
◎名古屋ボストン美術館 
前期6/23〜9/17
後期9/29〜12/9
◎九州国立博物館
2013・1/1〜3/17
◎大阪市立美術館
2013・4/2〜6/16
貴重な展示を是非!

国立博物館常設館

 2012年3月20日〜6月10日、ボストン美術館所蔵

 “日本美術の至宝展”が、上野で開かれました!

 今回はいわば、日本の超一級美術品のお里帰り展示。

 見所は、ポスター中央にもあります「龍雲図=曽我蕭白=」・

 「龍虎図屏風=長谷川等伯=」など大型の襖絵や屏風・絵巻物。

 その他にも仏画や仏像、刀剣や豪華な絹衣まで盛りだくさんです。

 実に暗すぎるくらい暗い会場内ですが、多くの来場者で賑わい、

 土日・最終日近くには、入場制限が出たほどです。
 
国立博物館平成館ボストン美術館展
ボストン美術館展パンフレット
 展示の多くが、米国人ウィリアム・S・ビゲローや

 アーネスト・フェノロサによって持ち帰られた作品群です。

 フェノロサが現在の東京藝術大学の設立に貢献したのは、

 広く知られたことですが、ビゲローもまた日本美術の価値を

 高める重要な役割を果たした人物です。ビゲローは医師。

 細菌学を修めたビゲローが、父親の外科医師に外科診療を

 無理強いさせられたことから、心身の休養目的で、来日。

 やがて当時野蛮国認識の日本の美術に魅了されたビゲロー、

 世捨人のような風体で美術品探しの旅を続けました。

 そんなふうにして集められた貴重な展示物です。

 
 図録やテレビでよくわからないのが、作品のスケール。

 上パンフ写真の曽我蕭白“雲龍図”は、実に大きいものです。

 一見漫画のような龍図、江戸中期のものにしては、ふざけている!

 という感じを抱きますが、否、ばかに迫力のある天才の画。

 ビゲローが、襖絵をはがしてまで持ち帰ったという理由が

 見ればわかるというものです。いい“気”が出ていましょう。

 そのほか、長谷川等伯、歴代狩野派、伊藤若冲、橋本雅邦、・・・

 江戸・明治期のこんな豪華な作品見逃してはいけません!
お土産クリアファイル龍虎図屏風ー長谷川等伯ー
お土産クリアファイル雲龍図ー曽我蕭白ー  
 思い出して「いいもの見たなぁ〜」と悦に浸りたいのに

 金欠な時、おすすめするのは、クリアじゃないクリアファイルの

 購入です。主だった展示物がファイルいっぱいにプリント!

 見て楽しく、使ってうれしく、お土産にも適しています。

 みなさんの大切な友人が、お土産のクリアファイルがきっかけで、

 日本美術に興味をもたれるかも知れません。

 ボストン美術館側は、
今後最低5年間は所蔵品を外に出さない!

 と、公言しております。上野を逃した方は、是非他都市へ
千葉美術館“蕭白ショック”展






** この特別展は5/20
終了いたしました **

千葉市美術館“曾我蕭白”展パンフレット

 東京国立博物館ボストン美術館展に呼応するかのように、

 千葉市美術館では、2012.4/10〜5/20まで、

 曾我蕭白展を開催。題して『蕭白ショック!!』。

 ボストン美術館展のパンフレット中央にもあります龍雲図を

 描いた絵師の作品を集中して見られる特別展です。

 曾我蕭白(1730〜81)は、京都出身の画家。染め物屋を

 営む商家に生まれましたが、10代で家族と死別、孤独の中

 伊勢・播州(兵庫県)に作画活動の足跡を多く残しました。

 見ると本当にショックを受けます。墨一色でこの迫力はなに!!

 展示数が多くないので少々シンプルですが、この機会に

 鬼才の作品を是非ご覧になって、ショックを受けてください。
 
千葉市美術館入り口


  
                                   ** このページの先頭へ **

千葉市美術館入り口 酒井抱一展広告柱 千葉市美術館  

酒井抱一展
(さかい ほういつ)

*現在この特別展は
終了しています*

酒井抱一展広告柱裏面図柄

 2011年、江戸期絵師の生没記念展が催されるのは、

 没後150年の歌川国芳と、生誕250年の“酒井抱一”です。

 この秋、千葉美術館では、江戸琳派の始祖である酒井抱一

 (1761〜1828)の特別展を催してくれました。


 譜代大名姫路藩 酒井家の次男として誕生した抱一は、

 跡継ぎ長男の保険という自らの立場に苦悩しました。

 もともと書画・和歌の才に非常に恵まれた酒井の家系。

 藩主の保険として江戸屋敷に詰める苦悩を、書画を描くことで、

 紛らしていたのかも知れません。
酒井抱一展ガイド冊子
酒井抱一展パンフレット&入場券
 琳派とは江戸中期の画派のひとつで、“尾形光琳”にちなむ。

 京都出身の光琳没後およそ45年後に生を受けた酒井抱一が

 なぜ尾形光琳に心酔し、後に(1815)光琳百年忌を催し、

 さらに起居する江戸で、光琳を踏襲する画派を起したのか?

 これは、抱一の生育環境に秘密がありそうです。

  京都の呉服商「雁金屋」次男に生まれ、放蕩三昧の光琳は

 経済的困窮に陥り、パトロンを頼って江戸に下り、

 一時、姫路藩主酒井家の江戸屋敷で扶持を得ていたのです。

 後に抱一は、屋敷に残された光琳の足跡(画)を目にし、

 その魅力に取り付かれたのではないだろうかと想像できます。

 酒井家の跡を兄の子が継ぐや、抱一はいよいよ用済みとなり、

 37歳で出家、自由な立場で画を描くことに専念できる

 ようになりました。元来、俳諧や書画をたしなみ、細密で

 非常に品のある画風ではありましたが、この頃からは、風俗画、

 仏画、俳画など様々な作画に手を広げるようになったようです。

 雨華庵に身を置き、様々描きましたが、やはりお得意は

 風雅な花鳥画! 中でも「四季花鳥図巻」は、必見です。

  右写真は売店の絵葉書・クリアファイルですが、細密な

 筆致で上品な季節感、ざーます知人を喜ばす一品にございます。
抱一画 絵葉書&クリアファイル

 第一会場には、抱一の若き頃よりの作品が、年代を追って

 数多く展示されています。フロアを下って、

 第二会場に行きますと、抱一の弟子たちの作品が

 多く展示されております。江戸琳派は100年くらいの命脈を

 保ったそうですが、偉大な抱一の一番弟子と称されるのが、

「鈴木其一(きいつ)」。これまた、師を越えるほどの力量で、

 思わずうなるくらいの上手さでした。日本画の繊細さは、

 本当に素晴らしい!顔料を一滴ぼとんと垂らしたら、

 すべて台無しなのです。第二会場の鈴木其一・守一親子の

 並展は特に、胸きゅん!間違いなく画才は、遺伝します!

 ご興味の湧いた方は、是非、お見逃しなきよう。
 



                            ** このページの先頭へ **
太田記念美術館入り口 幕末の天才浮世絵師

歌 川 国 芳

*現在この特別展は
終了しています*
太田記念美術館「歌川国芳」展

 お邪魔をいたしましたのは、原宿表参道にほど近い

 太田記念美術館。ここは、浮世絵美術館で、こじんまり

 とした和の雰囲気が心地よく、表参道の喧騒が

 うそのような大人の空間が楽しめます。

 2011年は、“歌川国芳”この浮世絵師を是非

 覚えておいてください。

 没後150年にあたり、全国数箇所で

 特別展の開催が予定されております。
 
歌川国芳展パンフレット
「国芳」代表作絵葉書2点
 幕末の乱世、何かと取締りの厳しい幕府体制の下、

 “歌川国芳”は、様々な風刺画を残しています。左は絵葉書

 ですが、上の〈讃岐院をして為朝をすくふ図〉や、下の

 〈相馬の古内裏〉は有名で、どこかで目にしたことがある

 のではないでしょうか。

 国芳は、破天荒な絵を描いておりますが、浮世絵師として、

 多くの門下生を抱えて面倒を見ていたとか、家族を

 大事にしていたとか、まあ無類の猫好きとか・・
 
 アウトローとはま逆の温かい人間性が魅力的なのです。

 
 国芳は、武者絵や美人画も描きましたが、幕府がうるさく

 なりますと、浮世の娯楽画を、美人(女性)→スズメや猫に

 代えて描く、変幻自在に表現するセンスをもっていました。

 太田美術館に展示されていました、ワザと幼稚っぽく

 ヘタうまに仕上げた画や、金魚づくし、たぬきの“金○ま”

 シリーズは、粋!当時、取締まりの目をかいくぐり

 出回った洋画書を手本にした〈近江の国の勇婦於兼〉の画も

 跳躍する馬に負けない女傑に元気をもらう画のひとつです。

 
太田記念美術館裏手ショップ前

 そして今年、国芳が注目されているもうひとつの理由は、

 国芳の描いた下町風景画の中に、当時あるはずも無い

 “スカイツリー”が描かれていたというのです。場所も

 現在の墨田区のあたりで、ほぼ同位置に長い塔のようなものが

 遠景にくっきりと!!

 もう、天才には未来が見えていたと言い出す人々も現れ、

 国芳への関心は、高まる一方です。
神宮球場からくっきりそびえるスカイツリー

 浮世絵師 歌川国芳

  表参道にある「太田記念美術館」の歌川国芳展は、終了しておりますが、

 浮世絵にご興味がある方は、その他の作者の展示も太田記念美術館で是非、お楽しみください。

 幕末から明治にかけての乱世に人気を博した絵師の風刺心を、是非ご堪能ください。

 今に通じる“何か”をきっと感じ取られることでしょう。   




                          ** 国芳案内の先頭へ **

佐倉歴史民族博物館

国立歴史民族博物館
第六展示室(現代)
館内展示物:日本の街角

 2010年、千葉県佐倉市の歴史民族博物館に、新たな展示室
 
 が公開されました。6番目の展示室のテーマは、“現代”

 1931年(昭和6年)から1970年代までを3期に分け

 展示してあります。満州事変から敗戦までの「戦争の時代」、

 1945年(昭和20年)から7年間にわたる「占領の時代」、

 そして、1955年(昭和30年)前後を起点とする

 「高度成長の時代」。ご年配の方は、すべてをご経験でしょう。

 戦争のおつらい気持ちがこみ上げてくるかも知れませんが、

 戦後は、一貫してたくましく生活してきたという、ある種の活力を

 得るかも知れません。今、受難感でいっぱいの若い方々は、

 時に気持ちのお休みをとって、ご覧になってください。
歴博第六展示室
展示:第二次大戦時日本軍軍隊ラッパ
  左は、太平洋戦争の動員兵士たちを先導してきたラッパです。

 そのほかにも、出征兵士に持たせる為の千人針を施した腹巻など、

 戦意高揚の為に作成された品々が、たくさん展示されています。

 話には聞いていたものの、実際に目にしますと、当時は、

 誰もが“反戦”など口にできなかったであろう事が、

 ずしりと伝わってきます。

 国民のムード、教育の刷り込み・・・非常に怖いことです。

昭和の街角:ホウロウ看板 戦後の日本駐在米人取材者の部屋 
 戦後に転じますと、右は駐日

 米人ジャーナリストの滞在部屋。

 畳間に事務机を置いているのが

 たいへん印象的です。一方で、

 左は、戦後だいぶ経ってでも、

 総トタンの日本人家屋。

 国力の差は、歴然。

 開戦の無謀を感じ取ります。 
展示:初期テレビ放送モニター室再現 展示:初期のローラー脱水付き洗濯機
 昭和30年以降の高度成長時代。

 「もはや戦後ではない」の標語の

 もと、急速な発展を遂げた日本。

 テレビ放送の始まり、電化製品の

 普及、狭いながら寝食をわけた住宅。

 これらの展示を見ながら、昭和は

 激動だったのだとの思いをあらたに!

 
   
   国立歴史民族博物館へは

  千葉県佐倉市にあります歴史民族博物館の最寄り駅は、京成線の佐倉駅です  
  京成佐倉駅下車、国道296沿いを上り上野方向へ1km弱約15分ほど徒歩。

   緑豊かな敷地には、駐車場も十分。お車でもお出かけください 

   ★ ★ ★    写真撮影禁止のところでは、一切撮影をしていません。
             ご紹介した展示物は、ほんの一部です。国立歴史民族博物館は、第一から第六展示室まで
             年代別に展示。石器時代から現代にわたる資料は膨大です。少なくとも半日費やすくらいの
             余裕をもってお出かけください。
 


                                                  
** 歴博案内の先頭へ **
 
千葉市美術館浮世絵特別展広告 千葉市美術館
浮世絵の黄金時代

*現在この特別展は
終了しています*

中央区役所正面「鳥居清長」浮世絵図ポスター
館内巨大浮世絵プリント布  
 2011年4月〜6月5日 千葉市美術館が扱う特別展示は、“浮世絵”。

 江戸中期、徳川幕府の世が安定し、小金持ちがお芝居を楽しんだり、

 大店の主が、色町の女性たちとお花見に繰り出したり、そんな泰平風俗を

 版元に雇われた大勢の絵師たちが、出版目的で描いたものが、浮世絵!

 今で言う、タレントのプロマイド的存在だった為、その芸術性を

 国内では高く評価していませんでした。その為、明治の混乱期、

 浮世絵版画は元より肉筆画さえも、欧米にたくさん流出してしまいました。

 現在、ボストン美術館に浮世絵の名品の数々が所蔵されているのには、

 理由があります。
 
館内浮世絵こっけい画プリント立て板
 早くから浮世絵の美しさに魅了されたひとりの人物がおりました。

 岡倉天心とともに東京美術学校設立に尽力した哲学博士アーネスト・

 フェノロサに大きく影響を受けた“ウィリアム・S・ビゲロー”医師です。

 ビゲローは、1882年から8年間の日本滞在中、

 多くの日本美術品を収集しました。後年、その多くをボストン美術館に

 寄贈したため、数多くの浮世絵が、ボストン美術館に所蔵されているのです。

 今回展示されますのは、錦絵が最も華やかなりし天明・寛政期

 (1781−1801)に活躍した鳥居清長(きよなが)、喜多川歌麿

 (うたまろ)、東洲斎写楽(しゃらく)を主とする名品の数々です。

 歌舞伎との深い関わり、スター絵師たちのタッチの差異を是非その目で!
 
 
  ところで、先日NHKで放映された、東洲斎写楽の正体についての番組は、

 ご覧になりましたでしょうか? 1794〜1795の10ヶ月の間に、

 145点の錦絵を出版し、その後、こつ然と姿を消したといわれる浮世絵師、

 それが、東洲斎写楽です。館内には、その貴重な写楽の版画がたくさん!!

 今最も注目される写楽の特別展は、東京国立博物館でも開催されております。

 興味のある方は、そちらも是非ご覧いただくといいでしょう(6/12まで)。

 ちなみに、写楽とは、だれなのか・・・・現在最有力説は、

 阿波出身の能楽者「斎藤十郎兵衛」ですと。ではなぜに作品を見なくなったか?
 
 その秘密の有力な説は・・・千葉美術館館内の案内書きにもありましたよ!

 
特別展チラシから写楽の版画

  フロアーをくだり、同時開催されておりました所蔵作品展の主たる作者は、

 岡本秋暉(おかもと しゅうき)。小田原藩士の養子となり、江戸中屋敷に

 勤務するかたわら、作品を残した文人画家だそうです。

 渡辺崋山や椿椿山(つばき ちんざん)と親交があったととのこと、

 細密でありながら迫力のある画風は、崋山や椿山と肩を並べるほどの技量と

 いえるでしょう。正確な写実性、その迫力と気品に圧倒されてしまいます。

 浮世絵もいいですが、やはりこの正統的な絵は、高級感がありますね。

 「1枚あげるよ」といわれれば、間違いなく写楽よりこちらを所望します!

 
同時開催所蔵作品展チラシ
   
  
    *** 当然ですが、展示作品の撮影は、一切禁止されております ***
          
     千葉市美術館の開催する特別展は、センスが良い!  学芸員さんの力量とご努力が、伺えます。
     ボストン美術館所蔵“錦絵の黄金時代展”は、2011年6月5日、好評のうち会期が終了いたしました。


   千葉市美術館へは
 
  千葉市美術館の最寄駅は、京成千葉中央駅です   
  京成千葉中央駅下車、成田方向へ徒歩5分くらいです。千葉市中央区役所の中にありますので、

  迷われた時には、中央区役所の行き方をお尋ねください。


                                     
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